6月27日木曜日朝、当塾顧問(元・上中学院塾長)上中邦雄先生が逝去いたしました。皆様の生前のご厚誼に心より感謝申し上げますとともに、先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

ここに、29日のご葬儀の際に、当塾会長河浜が読み上げた、弔辞の全文を掲載し、先生のご生前の業績をたたえるとともに、私どもを指導していただいた先生の今迄に、感謝の気持ちを捧げます。

 

河浜の弔辞

先生、今回ばかりは、多くの言葉を持つつもりの河浜も、本当にどう言葉をおかけすればよいのか、当惑しております。そして、何よりも、いくら言葉を並べても、先生と呼びかけても、先生のお声が返ってこないことがあまりに悲しく、また信じられず、その悲しみにはとても深いものがあります。あまりにも早いご逝去の報は、私たちを動転させました。

 

しかし、運命とは言え、先生が逝かれたことを受け入れざるを得ない私たちに、先生のさわやかな遺影はいつものように穏やかに笑っておられます。その落差に、このことが現実ではないように感じられてなりません。でも現実は現実なんですね。

 

先生、私は先生と今世でお会いできたことに心から感謝しております。先生と私の出会いは、広島私塾連盟が発足した二十五年前でしたね。当時、学校での教師としての生活にピリオドをうたれ、その頃広島を代表する学習塾の一つだった学習サークルを支える専任講師として、活躍しておられました。また、先生はテレビ新広島の奥様番組に出演され、家庭教育のアドバイザーとして熱弁を振るわれました。先生は朝の番組・私は広島テレビの夕方の番組、ともにテレビ出演の日々を過ごしました。

 

その後、十八年前、地元に「上中学院」を設立され、地域教育に大きく貢献されました。その真摯な教育活動・金銭主義に走らない教育者としての態度は万人の認めるところです。

 

さらに先生が脳こうそくを患われたことを期して、八年前私の経営する学習共同体河浜塾と合併、そして、ご回復後、学習共同体グループ顧問として、私たちに多くの示唆を与えられ、とりわけ私に対しましては教育・経営にわたるアドバイザーとして、常に的確なアドバイスをいただきました。なによりも、河浜を信頼して下さり、上中学院の後を託すものとして、教室をお委ねいただいたことは、この上なく光栄なことと思っております。これからも先生からのご期待に応えるよう、努力して参りたいと思います。本当にありがとうございます。

 

そのわたくしからしてみますと、上中先生は、十歳年上の大先輩。その温和なお人柄、見識の広さ、教育に対する研究熱心な姿勢。そのすべてが私の目標でした。

 

私は当時必ず週に一回は上中学院で授業を持ちました。それは、授業後に先生とディスカッションをし、教育の方法。広島の教育情勢・塾業界の様子など、多くの分野にわたって先生からアドバイスをうけるためでもありました。先生、あのころはいろんなことについて話し合いましたね。その一つ一つが、現在の私の糧となっております。また、先生とお話しすることはとても楽しい時間でもあったのです。

 

教育者が教育に向かう心構え、まじめに生徒の立場に立って教育を推し進めること、決して利潤第一の塾運営をしないこと。さらには、これから先の高齢化社会の中での塾運営の在り方など、その一つ一つの教訓が、今私の中にあります。

 

先生の持つ教育技術についてもいろんなことをお教えいただきました。特に公立高校入試について県教委から発表される講評の文言の分析、指導要領から掘り起こす分析や出題予測は、他の追随を許すものではありませんでした。

 

そして、先生、私がさらに教わったことは、ご家族に対する愛情でした。私は先生がご家族を大切に思われ、愛情を注がれたお姿を垣間見させていただきました。何度先生の口からご家族のお話を聞いたことでしょう。奥様への感謝、お子様の話をされる柔和な表情。その都度あふれこぼれてくる愛情のかけらをひしひしと感じながら、私自身もそうあらねばと教えられました。ただ、ご結婚されたばかりのご長男。お二人の娘さんは、片やは三人目のお子さんをお腹に宿し、片やは、これから人生のより華やかな時期を迎えられるであろうことを想像すると、もう少し長く生きられれば、もっともっと多くの楽しいご家族との日々があっただろうと、残念でしかたありません。しかし、先生、先生の愛するお子様方は、言うまでもなくご立派に育ってこられました。きっと、先生の愛情の深さを感じ取っておられることと思います。

 

先生私は先生に塾名に上中学院という名を留めることをお約束しましたね。他にも合併したり吸収した教室を持つ河浜塾ですが、上中学院だけは学習共同体上中学院とさせていただきました。

 

私は、私の生ある限り、最大の努力で、上中学院のともしびを消さないよう努力しようと決意しています。上中学院は昨日も先生の教えを守り、職員一同哀しみを抑えて、授業を続けました。本日も教室を閉じることなく、授業を続けます。留めることなく流れる時の流れは、私どものかたわらを音もなく流れて参りますが、どうか、これからも天にあって上中学院と河浜塾を見守ってください。先生からいただいた多くの教訓を守り続けるとともに、これまでのご厚情に対する限りない感謝の気持ちをお捧げして、心からの私の弔辞とさせていただきます。先生これまで本当にありがとうございました。

 

平成二十五年六月二十九日

学習共同体河浜塾・上中学院

代表取締役会長 河浜一也